○奈義町安全安心まちづくり条例

平成21年6月9日

条例第23号

前文

私たちが生まれ、育ち、学び、生活するこの奈義町が、誰でも、いつでも、どこでも、いつまでも安全に安心して暮らせる地域であることは、私たちの共通の願いである。

しかしながら、町民の安全・安心をめぐる諸問題は、社会経済情勢の変化の中で、複雑化・多様化し、常に形を変えている。

これらの問題に対処するためには、「自助」、「共助」、「公助」が、重要な要素であり、行政が施策を着実に実施していくことはもとより、私たち一人一人が地域社会の構成員として、「自らの安全は自ら守る。」「地域の安全は地域で守る。」との意識を持ち、身近なところからその危険に気付き、備えることが何より大切である。更に、これらの取組みについて、町、地区、町民、事業者、地域活動団体等が、相互に意見を交換し、合意し、信頼し合いながら連携し、協力して推進していくことが重要である。

ここに、私たちは、安全で安心なまちづくりに向けた不断の努力を行うことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、奈義町の安全で安心なまちづくりに関し、基本理念を定め、町、地区及び町民の責務等を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、町民が安全に安心して暮らし、活動することができる奈義町の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 安全 町民の生命、心身及び財産に被害を及ぼすおそれがないと社会的に認められる状態にあることをいう。

(2) 安心 将来にわたって町民の生命、心身及び財産に被害を及ぼすおそれがないと町民が信じる状態にあることをいう。

(3) 町民 町内に住所を有する者及び町外に住所を有する者のうち、町内の事業所に勤務する者、その他町内に滞在する者をいう。

(4) 事業者 町内において商業、工業その他の事業を営む者をいう。

(5) 地域活動団体 町内各種団体、ボランティア団体、特定非営利活動法人、その他これらに類する団体をいう。

(6) 安全で安心なまちづくり 安全確保による安心の獲得を目的として行う次に掲げる取組みをいう。

 町民、事業者及び地域活動団体(以下「町民等」と総称する。)による自主的な活動

 に規定する取組みを促進するための町、地区及び町民等による環境整備

(基本理念)

第3条 安全で安心なまちづくりは、「自助」、「共助」、「公助」が重要な要素であり、町、地区及び町民等が緊密に連携し地域の絆を強め、支え合う良好な地域社会の形成を図ることを旨として行われなければならない。

2 安全で安心なまちづくりは、町、地区及び町民等が適切に役割を分担し、連携を図りながら協力することを旨として行われなければならない。

3 安全で安心なまちづくりは、町、地区及び町民等による互いを尊重して行う協議での合意形成により、相互の信頼関係を構築し、町民の安心が獲得されることを旨として行われなければならない。

4 安全で安心なまちづくりは、町民の基本的人権を尊重しながら推進すべきことを旨として行われなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)により、安全で安心なまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施するものとする。

2 町は、前項に規定する施策の実施のため必要があると認めるときは、国及び県に対し必要な協力を求め、若しくは意見を述べるものとする。

(地区及び町民の責務)

第5条 地区及び町民は、基本理念により、日常生活における自らの安全確保に努めるとともに、安全で安心なまちづくりを積極的に推進するよう努めなければならない。

2 町民は、町、地区及び他の町民等が行う安全で安心なまちづくりに関する施策及び活動に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念により、自らの事業活動に関する安全確保に努めるとともに、安全で安心なまちづくりを積極的に推進するよう努めなければならない。

2 事業者は、関係法令を遵守するとともに、自らの事業活動が町民の安全に影響を及ぼす可能性があることを自覚し、生産過程に伴う環境保全に配慮することとし、自らが提供する生産物、製品又はサービスの自主検査等により自主的な安全性の確保に努めなければならない。

3 事業者は、町、地区及び他の町民等が行う安全で安心なまちづくりに関する施策及び活動に協力するよう努めなければならない。

(地区との連携等)

第7条 町は、安全で安心なまちづくりを推進するうえで地区が果たす役割の重要性にかんがみ、安全で安心なまちづくりに関する施策の推進にあたっては、地区と緊密な連携を図るものとする。

2 町は、地区が行う安全で安心なまちづくりに関する事業について、情報の提供、技術的な助言、その他必要な措置を講ずるものとする。

(推進体制の整備)

第8条 町は、安全で安心なまちづくりの実施にあたり、町、地区及び町民等の連携を推進し、並びに地区及び町民等の活動を支援するための体制を整備するものとする。

(緊急時の体制等の整備)

第9条 町は、町民の安全に重大な影響を及ぼし、又は及ぼす可能性のある緊急の事態に備え、当該事態への対処及び当該事態の発生の防止に関する体制の整備、その他必要な措置を講ずるものとする。

(広報及び啓発)

第10条 町は、安全で安心なまちづくりについての地区及び町民等の関心並びに理解を深めるため、広報活動の充実、学習の機会の提供、その他必要な措置を講ずるものとする。

(町民等に対する支援)

第11条 町は、地区及び町民等が行う安全で安心なまちづくりに関する活動を支援するため、情報の提供、助言、計画的人材の育成の支援、その他必要な措置を講ずるものとする。

(防犯の推進)

第12条 町は、犯罪がなく町民が安心して暮らすことのできる奈義町を実現するため、防犯に関する周知啓発、防犯ボランティア団体等への支援、地区、事業者その他の関係団体等と連携した推進体制の整備、犯罪の防止に配慮した環境の推進、子どもの安全確保に関する施策の実施、その他必要な措置を講ずるものとする。

(防災の推進)

第13条 町は、自然災害、大規模な火災又は事故等の災害に対して、町民が安心して暮らせる災害に強い奈義町を実現するため、国、県、他市町村、地区その他の関係機関等との連携の強化、消防防災活動の充実、防災意識の向上のための教育、防災訓練の実施、災害時要援護者及び被災者に対する支援、自主防災組織の育成、その他必要な措置を講ずるものとする。

(交通安全の推進)

第14条 町は、交通事故がなく町民が安心して生活することのできる奈義町を実現するため、国、県その他の関係機関等との連携による道路交通環境の整備、交通安全に関する教育及び広報啓発、その他必要な措置を講ずるものとする。

(虐待等対策の推進)

第15条 町は、児童、高齢者若しくは障がい者に対する虐待又は配偶者に対する暴力(以下この条において「虐待等」という。)による重大な人権侵害を防止し、町民が安心して暮らすことのできる奈義町を実現するため、虐待等防止のための周知啓発、虐待等の防止の見守り体制の整備、虐待等の被害者又はその家族等への支援、その他必要な措置を講ずるものとする。

(情報対策への啓発の推進)

第16条 町は、パーソナルコンピューターや携帯電話の発達及び普及に伴い氾濫する情報から個人情報、生命及び財産を守るため、利用者が正確良質な情報を選別する能力を身につけるなど、情報に関する学習会、教育、広報啓発、その他必要な措置を講ずるものとする。

(健康維持及び医療に関する町民参画等の推進)

第17条 町は、町民の健康で健やかな生活を実現するため、疾病に対する正しい知識の普及啓発、健康づくりへの町民参加の促進、地区及び医療関係団体との連携の強化、その他必要な措置を講ずるものとする。

(食品の安全確保の推進)

第18条 町は、町民の健康を最優先し、消費者の視点を重視した生産から消費に至る一貫した食品の安全が確保された暮らしを実現するため、生産者に対する指導、消費者及び生産者の活動の支援、国、県その他の関係機関等との連携の強化、その他必要な措置を講ずるものとする。

(生活環境の保全)

第19条 町は、環境の保全上の支障がなく、将来にわたり環境が健全で恵み豊かなものとして維持され、町民が安心して暮らすことのできる奈義町を実現するため、環境の状況の監視及び調査、生活環境の保全に関する周知啓発、体験的参加型学習等の推進、その他必要な措置を講ずるものとする。

(人口減少への対策の推進)

第20条 町は、人口減少による地域力の低下に対応するため、積極的な人口増加施策を行うとともに、若者の定住化、町内への移住者の促進、その他必要な措置を講ずるものとする。

(老後対策の推進)

第21条 町は、高齢化に伴う各種障害等に対応するため、地域ぐるみの支えあい活動等の支援、支えあう意識の啓発及び普及並びに高齢者の安全確保に関する施策の実施、その他必要な措置を講ずるものとする。

(実行計画)

第22条 町長は、安全で安心なまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、奈義町まちづくり総合計画に、次の各号に掲げる事項を反映させるものとする。

(1) 安全で安心なまちづくりの基本方針

(2) 安全で安心なまちづくりの施策に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、安全で安心なまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

(調査及び研究)

第23条 町は、安全で安心なまちづくりを効果的に推進するため、安全で安心なまちづくりに関する施策の策定及び実施に必要な調査及び研究を行うものとする。

(財政上の措置)

第24条 町は、安全で安心なまちづくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(関係条例の廃止)

2 奈義町安全で住みよい町づくり条例(平成10年条例第27号)は、廃止する。

奈義町安全安心まちづくり条例

平成21年6月9日 条例第23号

(平成21年6月9日施行)