○奈義町手話言語条例

令和6年3月5日

条例第4号

言語は、お互いの気持ちを理解し合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。手話言語は、音声言語である日本語と異なる文法体系をもった独自の言語であり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語である。ろう者(聴覚の障がいのため、手話を意思の疎通の方法として用いる者をいう。以下同じ。)は、手話言語で物事を考え、コミュニケーションを図り、大切な言語として手話言語を守り育んできた。

しかしながら、過去には、手話が言語として認められず、ろう教育において口話教育が推進され、手話の使用が禁止されたことなどから、ろう者は、必要な情報を得ることやコミュニケーションをとることが難しく、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

こうした中で、「障害者の権利に関する条約」や「障害者基本法」において手話は言語として位置付けられるなど、障がい者を取り巻く状況は大きく変わってきている。

奈義町においても、『手話は言語である』との認識に基づき、手話の理解と広がりをもって地域で支え合い、障がいの有無にかかわらず、手話を使って安心して暮らすことができる共生社会の町を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話は完全な言語であり、ろう者の主要なコミュニケーション手段と認識し、手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する基本理念を定め、町の責務並びに町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的に手話を使用しやすい環境を構築するために必要な施策を実施することにより、誰もが安心して心豊かに暮らすことのできる町を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 手話に対する理解の促進及びその普及を図り、全ての町民が互いに人格と個性を尊重し、ろう者が手話による意思疎通の権利を保障し、ろう者が手話を使って自由にコミュニケーションできる権利を確立する。

(町の責務)

第3条 町は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及を図り、手話を使用しやすい環境の整備を推進するための施策を講ずるものとする。

(町民の役割)

第4条 町民は、基本理念に対する理解を深め、手話に関する町の施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、基本理念に対する理解を深めるとともに、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第6条 町は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 手話言語への理解の促進及び手話言語の普及を図るための施策

(2) 町民が手話言語に触れ、関心を深めることができるよう学ぶ機会を拡大するための施策

(3) 町民が意思疎通の手段として手話言語を選択することが容易にでき、かつ、手話言語を使用しやすい環境の構築のための施策

(4) 手話通訳者の配置の拡充及び処遇改善等手話言語による意思疎通支援者のための施策

(5) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために町長が必要と認める施策

2 町は、前項に規定する施策の推進に当たっては、ろう者、手話通訳者その他関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。

(委任)

第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

奈義町手話言語条例

令和6年3月5日 条例第4号

(令和6年3月5日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第4節 障害者福祉
沿革情報
令和6年3月5日 条例第4号