○奈義町美しいまちづくり景観条例
令和2年3月5日
条例第1号
目次
第1章 総則(第1条~第6条)
第2章 景観計画(第7条)
第3章 行為の制限等(第8条~第15条)
第4章 景観重要建造物等(第16条・第17条)
第5章 奈義町景観審議会(第18条~第23条)
第6章 雑則(第24条)
附則
前文
私たちは、四季折々に様々な表情を見せる那岐山、清らかな水を運ぶ河川など豊かな自然に恵まれ、これらの美しい自然とのかかわりの中で、景色の移ろいを感じながら、人々の営みや歴史と伝統に培われた文化的景観をはじめとした、多くの個性豊かな景観を形成してきました。
先人が守り、育ててきたこれらの景観は、私たちに安らぎのある豊かな生活環境をもたらし、地域への誇りと愛着をはぐくむとともに、奈義町を訪れる人々をも引きつける貴重な資産であります。
しかし、産業技術の進化、人々の価値観の多様化など、時代の変化により、多くの良好な景観がその姿を変え、失われつつあります。
私たち一人ひとりが、身近にある景観の価値を認識し、行政、町民及び事業者の適切な役割分担と協働のもと、良好な景観を町民共通の資産として、将来の子ども達に引き継いでいかなければなりません。
ここに、私たちは、次世代に奈義町の豊かな自然環境と良好な景観を守り、育て、創造するための不断の努力を行うことを決意し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づき、景観計画の策定、行為の規制その他良好な景観の形成に関する施策の基本となる事項を定めることにより、行政、町民及び事業者等の適切な役割分担と協働のもと、地域の特性及び個性を生かした良好な景観を町民共通の資産として守り、育て、かつ創造し、もって将来に魅力ある町を継承することを目的とする。
(1) 景観の形成 本町固有の良好な景観を守り、育て、かつ創造し次世代に引き継ぐことをいう。
(2) 景観計画区域 法第8条第2項第1号の景観計画区域をいう。
(3) 景観形成基準 次世代に奈義町の豊かな自然環境と良好な景観を守り、育て、創造するために景観計画において定める行為の制限の基準をいう。
(4) 建築物 景観法(平成16年法律第110号)第7条第2項に規定する建築物をいう。
(5) 工作物 土地又は建築物に定着し、若しくは継続して設置される物のうち、建築物以外のもので、規則に定めるものをいう。
(6) 事業者 建築主並びに設計及び施工を業として行う者をいう。
(町の責務)
第3条 町は、奈義町の景観を町民共通の資産として、将来にわたり保全、活用するための総合的かつ効果的な施策を策定し、実施しなければならない。
2 町は、前項の規定による施策の策定及び実施にあたっては、町民及び事業者の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。
3 町は、建築物の建築等、工作物の建設等又は公共施設の整備等にあたっては、良好な景観の形成に先導的な役割を果たすよう努めなければならない。
4 町は、町民及び事業者の良好な景観に関する知識の普及並びに意識の高揚を図るため、必要な施策を講ずるとともに、町民及び事業者の良好な景観の形成に資する活動を支援するよう努めなければならない。
(町民の責務)
第4条 町民は、自らが良好な景観をつくる主体であることを認識し、自主的かつ積極的に良好な景観づくりに努めるとともに、町が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、自らの業が良好な景観の形成に与えるものであることを認識するとともに、様々な活動を通じて地域の賑わいや活力を創造する主体として、自主的かつ積極的に良好な景観づくりに努めるとともに、町が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(関連する施策等との調整及び連携)
第6条 町は、景観形成を総合的かつ効果的に推進するため、この条例に基づく施策と、その他の景観形成に関連する施策との調整及び連携を図らなければならない。
第2章 景観計画
(景観計画の策定)
第7条 町長は、良好な景観の形成を総合的かつ効果的に推進するため、法第8条第1項の規定に基づき景観計画を策定し、町全域を景観計画区域に定める。
2 町長は、景観計画を変更しようとするときは、あらかじめ奈義町景観審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴くものとする。ただし、規則で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りではない。
第3章 行為の制限等
(景観計画への適合)
第8条 景観計画区域内において法第16条第1項各号に掲げる行為をしようとする者は、当該行為を景観計画における景観形成基準に適合するように努めなければならない。
(届出を要する行為)
第9条 法第16条第1項第4号に規定する条例で定める行為は、別表第1に掲げる行為とする。
(届出を要しない行為)
第10条 法第16条第7項第11号に規定する条例で定める行為は、別表第2に掲げる行為とする。
(届出の時期)
第11条 法第16条第1項又は第2項の規定による届出は、当該届出に係る行為が建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条第1項又は第2項の規定による確認を要するものであるときは、当該確認の申請をする前に行わなければならない。
(事前協議等)
第12条 第8条に規定する行為を行おうとする者は、当該届出の前に、町長に協議を行うものとする。
2 町長は、前項の規定による協議において、良好な景観の形成を推進するために必要があると認めるときは、当該行為を行おうとする者に対し、必要な措置を講ずるよう助言を行うものとする。
(助言及び指導等)
第13条 町長は、行為の届出があった場合において、その届出に係る行為が景観計画における景観形成基準に適合しないと認めるときは、届出をした者に対し、必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
2 町長は、前項の規定により助言又は指導をしようとする場合において、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴くことができる。
(勧告及び命令等)
第14条 町長は、前条の規定による助言又は指導をした場合において、その者が当該助言又は指導に従わないときは、法第16条第3項、法第26条若しくは法第34条の規定に基づき、勧告することができる。
2 町長は、前項の勧告を行おうとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
3 町長は、法第17条第1項、同条第5項、法第23条第1項、法第26条、法第32条第1項若しくは法第34条の規定に基づき、命令することができる。
4 町長は、前項の命令を行おうとするときは、当該者に意見陳述の機会を与えるとともに、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
2 町長は、前項の規定による公表にあたっては、当該者に意見陳述の機会を与えた上で、審議会の意見を聴かなければならない。
第4章 景観重要建造物等
(景観重要建造物等の指定等)
第16条 町長は、自然、歴史、文化等からみて建造物の外観が景観上の特徴を有し、良好な景観形成に重要であると認められる建造物等を法第19条第1項の規定に基づき、景観重要建造物として指定することができる。
2 町長は、自然、歴史、文化等からみて樹容が景観上の特徴を有し、良好な景観形成に重要であると認められる樹木等を法第28条第1項の規定に基づき、景観重要樹木を指定することができる。
3 町長は、前2項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
6 景観重要建造物等の指定は、文化財保護法(昭和25年法律第214号)の規定に基づき国宝、重要文化財、特別史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建造物、岡山県文化財保護条例(昭和50年岡山県条例第64号)の規定に基づき県宝、県史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建造物、若しくは奈義町文化財保護条例(昭和42年条例第13号)の規定に基づき町重要文化財に指定された建造物又は樹木については、適用しない。
(景観重要建造物等の管理の方法の基準)
第17条 法第25条第2項に規定する景観重要建造物の所有者及び管理者が行う景観重要建造物の良好な景観の保全のために必要な管理の方法は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 景観重要建造物の修繕は、原則として当該修繕前の外観を変更することのないようにすること。
(2) 前号に掲げるもののほか、景観重要建造物の機能の保持及び良好な景観の保全のために必要な措置を講ずること。
2 法第33条第2項に規定する景観重要樹木の所有者及び管理者が行う景観重要樹木の良好な景観の保全のために必要な管理の方法は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定、病害虫の駆除、その他の必要な管理を行うこと。
(2) 前号に掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のために必要な措置を講ずること。
第5章 奈義町景観審議会
(審議会の設置)
第18条 この条例の規定によりその権限に属することとされた事項、その他良好な景観の形成に関する重要事項について審議するため、審議会を置く。
(審議会の定数)
第19条 審議会の委員(以下「委員」という。)は、5人以内をもって組織し、次の各号に掲げる者のうちから町長が委嘱する。
(1) 地域住民を代表する者
(2) 学識経験を有する者
(3) 関係行政機関の職員
(4) 前各号に掲げる者のほか、町長が特に必要と認める者
(任期)
第20条 委員の任期は、2箇年とする。ただし、再任を妨げない。
2 委員に欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(役員)
第21条 審議会に、委員の互選により、次の役員を置く。
(1) 委員長 1人
(2) 副委員長 1人
2 委員長は、会務を総理し、会議の議長となる。
3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故あるときは、これを代理する。
(会議)
第22条 会議は、委員長が必要に応じて招集する。
2 審議会は、必要に応じて、他の有識者に助言を求めることができる。
(報酬及び費用弁償)
第23条 委員の報酬及び費用弁償は、奈義町委員会委員等報酬及び費用弁償支給方法条例(昭和32年条例第49号)の定めるところによる。
第6章 雑則
(委任)
第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに岡山県景観条例(昭和63年岡山県条例第16号。以下「県条例」という。)の規定に基づき、岡山県知事その他の機関が行った指導その他の行為又はこれらの機関に対して行われた届出その他の行為は、町長が行った指導その他の行為又は町長に対して行われた届出その他の行為とみなす。
3 前項の規定により町長に対して行われたものとみなされた届出その他の行為に係る指導及び助言並びに変更の届出については、県条例の規定の例による。
(適用除外)
4 施行日において既に事業が開始されている事業については、この条例の規定は、適用しないものとする。ただし、事業者等は、前文の基本理念及び第1条の目的を遵守するよう努めるものとする。
(奈義町委員会委員等報酬及び費用弁償支給方法条例の一部改正)
5 別表奈義町生活環境等と太陽光発電設備との調和に関する審議会委員の項の次に次のように加える。
奈義町景観審議会委員長 | 3,300 | 〃 | |||
奈義町景観審議会委員 | 3,000 | 〃 |
別表第1(第9条関係)
建築物 | 届出対象行為 | 建築物の新築、増築、改築、移転、外観の模様替え又は色彩の変更 | |
届出対象規模 | 高さ13m又は建築面積500m2を超えるもの | ||
工作物 | 届出対象行為 | 工作物の新築、増築、改築、移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替え又は色彩の変更 | |
届出対象規模 | 煙突、排気塔その他これらに類するもの | 高さ13m又は築造面積500m2(建築物と一体となって設置される場合は、高さ5m、かつ、地盤面から当該工作物の上端までの高さ13m又は築造面積500m2)を超えるもの | |
アンテナ、鉄筋コンクリート造りの柱、金属製の柱その他これらに類するもの | |||
電波塔、物見塔、記念塔その他これらに類するもの | |||
装飾塔その他これらに類するもの | |||
高架水槽、冷却塔その他これらに類するもの | |||
彫像、記念碑その他これらに類するもの | |||
観覧車、飛行塔、コースター、ウォーターシュート、メリーゴーラウンドその他これらに類する遊戯施設 | |||
コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラントその他これらに類する製造施設 | |||
自動車車庫の用に供する立体的な施設 | |||
石油、ガス、液化石油ガス、穀物、飼料等を貯蔵又は処理する施設 | |||
汚水処理施設、汚物処理施設、ごみ処理施設その他の処理施設 | |||
太陽光発電施設 | 20kwを超えるもの | ||
擁壁その他これらに類するもの | 高さ2mを超えるもの | ||
垣、さく、塀その他これらに類するもの | |||
電気供給、若しくは有線電気通信のための電線路又は空中線(その支持物の鉄塔、電柱等を含む)その他これらに類するもの | 高さ20m(電線路又は空中線に含まれる支持物が建築物と一体となって設置される場合は、地盤面から当該支持物の上端までの高さ20m)を超えるもの | ||
広告物、広告塔その他これらに類するもの | 高さ4m又は表示面積の合計25m2(建築物と一体となって設置される場合にあっては高さ5m、かつ地盤面から当該工作物の上端までの高さ4m又は表示面積の合計25m2)を超えるもの | ||
屋外における土石等の堆積 | 届出対象行為 | 屋外における土石、廃棄物、再生資源その他の物件の堆積 | |
届出対象規模 | 物件の高さ5m又は当該行為に係る部分の土地の面積1,000m2を超えるもの |
別表第2(第10条関係)
建築物 | 適用除外行為 | 仮設の建築物、工作物に係る行為 |
高さ13m又は建築面積500m2を超えるものであって、増築、改築に係る床面積の合計10m2以下のもの | ||
高さ13m又は建築面積500m2を超えるものであって、外観を変更することとなる修繕、若しくは模様替え又は色彩の変更に係る部分の面積の合計10m2以下のもの | ||
改築で外観の変更を伴わないもの | ||
工作物 | 適用除外行為 | 仮設の工作物の建設等 |
改築で外観の変更を伴わないもの | ||
屋外における土石等の堆積 | 適用除外行為 | 外部から見通すことのできない場所での行為 |
期間が91日を超えて継続しないもの | ||
文化財保護法に規定する重要文化財の現状変更・修理等、史跡名勝天然記念物の現状変更等を行う行為 | ||
共通する適用除外行為 | 岡山県自然保護条例に規定する自然環境保全地域及び環境緑地保護地域等内における建築物の新築等 | |
岡山県立自然公園条例に規定する特別地域及び普通地域内における工作物の新築等 | ||
岡山県文化財保護条例に規定する県指定重要文化財の現状変更・修理等、県指定重要有形民俗文化財及び県指定史跡名勝天然記念物の現状変更等を行う行為 | ||
地盤面下又は水面下における行為 | ||
法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為 |