奈義町現代美術館では、館が収蔵する前衛書を中心とした書作品と、常設作品の構想段階で制作されたドローイング等を紹介し、多様な表現における「線」の可能性を探る展覧会を開催します。
文字を書くという行為から生まれる書は、言葉の意味を伝えるだけでなく、筆の動きや墨の濃淡、余白との関係などを通じて、身体の動きや作家の思考を視覚化する表現でもあります。その中でも前衛書は、文字の形や意味にとらわれない自由な造形を追求し、絵画や抽象表現とも関わりながら、書の新たな可能性を切り開いてきました。
一方、常設作品に関するドローイングには、作家の構想や試行錯誤の過程が線や形として記録されています。それらは完成した作品へと至るための資料であると同時に、作家の思考や身体的な感覚が直接的に表れた、独自の魅力を持つ表現として捉えることができます。
本展では、こうした異なる背景を持つ作品を「線」という共通の視点から紹介することで、文字と図像、平面と空間、完成と未完成といった既存の区分を越えた表現の豊かさを考察します。また、完成された作品だけでなく、その背後にある創造の過程にも目を向けることで、来館者が作品を自由な視点で捉え、想像力を働かせながら鑑賞する機会を創出するような展覧会となります。

